新リトルボイス誕生

<文:シンガーソングライター/秀機(ひでき)>

99.<大きなバナナを買った日>

仕事帰りに八百屋さんに立ち寄ると
20本以上もある巨大なバナナが
たったの180円で売られている。
なんでもフィリピンが好天気に恵まれたらしく
「なにこのバナナ~!」
他のお客さんもズラリと並ぶ巨大バナナに驚いている様子。
これスゴイでしょ?と
八百屋さんもレジで興奮気味に声を掛けてくる。
ようやく自宅に戻ったのは夕方6時。
すっかり日は落ちて暗くなっているが
部屋の電気も付けないままリモコンを探し
テレビを付ける。
実は昼間からすでにスマホのニュース速報で放心状態のまま。
暗がりの中、騒々しいテレビ画面を見つめ
どこか冷静に「ASKA再逮捕へ」のニュースを
受け入れる自分がいる。
何の独り言もなく黙ってテレビを消す。
しかし「あれ?」
キッチンにテレビのリモコンを持ってきてしまった。
リビングのベッドにポイッと投げ
もう一度キッチンに戻ると
棚にも冷蔵庫にも入らないあの巨大なバナナが
床に転がっている。
全部食べきるまで

 

何日掛かるんだろ……。

 

 

 

 

 

98.<芸能人と一般人のズレ>

人間なんてそんな完璧じゃない。
「どうしてこんなに清楚なんだろう」
「どうしてここまでマジメなんだろう」
きらびやかに輝く芸能人の魅惑にとりつかれ
一般人はいつの時代も芸能人の背中を追う。
しかしsns時代に入った今では
不倫や不適切な発言等、
人間の素性などすぐにバレてしまい
「なーんだ、錯覚か」
「隠されてただけじゃん」
潮が引くように一般人の芸能人に対する興味も
一気に引いていく。
トラブルを起こすとスポンサーのイメージに響くため
芸能人は番組を降ろされる。
「私は過ちを犯しました」と反省し、
関係者やスポンサーに頭を下げて回り
なんとかして芸能界への復帰を模索する。
そして芸能人仲間が一人、また一人と
「楽屋で泣いてるのを見た」
「そんなに悪い奴じゃなくてさ」
時期を見て擁護に動くわけだが……。
ここに一般人とのズレがある。
人は結局のところ「存在価値」を見ている。
見る価値、聴く価値、

 

生かす価値。

 

 

 

 

 

97.<イングリッシュ爺さん>

周りを見渡すと何人かキレている。
「No,No!How match?」
それもそのはず、黒縁メガネをかけた
ズングリとした日本人の爺さんが
50代ほどの外国人男性と
拡声器のような声で英語を喋っている。
この爺さん、隣の女房にいちいち
「今聞いたらね、あの温泉500円だって」
訳す。
女房に訳してあげる声と
外人と話す声の大きさがとんでもなく違うところを見ると
どうやら爺さん、ここぞとばかりに英語が喋れる自分を
周囲にアピールしている。
それもまた電車の中で。
「家の中でアピールしろよ」
乗客の中にはイヤホンを付けている人もいるが、
スマホを見たり、
軽く目を閉じてるだけの人も多い。
みんなが憂鬱な朝の電車に揺られる中、
「Yes.Yes!How match?」
爺さん一人がずっとうるせえ。
見ると爺さんの向かい側の席に座る主婦が
さっきから爺さんを睨んでいる。
「What?」
ホワッツじゃねえよ爺さん、
正面見ろよ、そのお母さんキレてるだろ。
「How match?」

 

カネねーんかお前。

 

 

 

 

 

96.<酒もタバコもギャンブルも>

酒もタバコもギャンブルもしない性格が
一度でもバレると非常に面倒で、
最近はオタクキャラを演じて相手の興味を逸らす方法を習得。
俺の五感は母親譲りで
母が酒を飲めないために自分も飲めない。
この時代にタバコなんて吸わないし、
一発逆転の大勝負にも興味がないため
ギャンブルにも興味がない。
世間はどうも「酒もタバコもギャンブルもしない男」を
つまらない人間だの、
お堅い人間だの、
何かしら偏見を持っているようで
「じゃあ何が楽しいの?」
「趣味は?」と
酒もタバコもギャンブルもしないと分かれば
100%の確率でその質問を投げてくる。
あのな、
作詞、作曲、編曲ができるんだぜ?
1000人以上と知り合ってきて
その面白さを理解できた奴はいまだに0人だよ。
(ホントは一年に一度だけだが)
「DSでドラクエばっかりやってま~す♪」

 

そのウソで勘弁せえ。 

 

 

 

 

 

95.<…ったく、オッサンっつうのは>

指をどけろ、指を。
缶ビール一本で長蛇のレジに並んでるくせに
60歳近くのオッサンが
一本だけ置いた缶ビールの20センチ手前に
指を置いてやがるから
俺の買い物カゴが一向に置けやしない。
後ろを向け、後ろを。
俺の買い物カゴまあまあ重いんだよ。
だいたい身だしなみに疎いオッサンっつうのは
人目を気にしないというよりも、
まず人を見ない。
こういう自己中なオッサンを見る度に
子供時代の教育がいかに重要かってことが良く分かる。
それより指をどけろマジで、指を。
なんで缶ビール1本とお前の指3本で
一カゴ分のスペース占領してんだよ。
…ほれ、オッサンのレジだよ!
「201円になります」
さっさと払え、さっさと。
なんで値段聞いてから財布開けるんだよ。
ちょっと待て、
札出そうとしてねえか?

 

小銭で払え、小銭で!

 

 

 

 

 

94.<着ぐるみのアラレちゃん>

エスカレーターを降りていたら
下の階に人だかりができている。
おかげで降りたはいいが次のエスカレーターに全然進めない。
「なんだ?イベントか?」
よく見るとすぐ近くで着ぐるみのアラレちゃんが
子供たちと写真を撮っている。
そう言えば先日、
ドクタースランプ・アラレちゃんの
35周年記念がどうのと宣伝していたが…、
しかしあまりの人の多さに
「まあ今日はいいや」とそのまま降りることに。
するとイベントの人だかりから
降りのエスカレーターの列に
赤ん坊を抱えた夫と若い奥さんらしき女性が合流してきた。
「え?何?」
コマーシャルのような長い髪をなびかせ
若い奥さんが旦那に振り向く。
旦那はどうして着ぐるみのアラレちゃんに
抱き締めてもらわなかったのかを奥さんに尋ねている。
「だってさ」
見ると確かに子供たちは
無邪気に着ぐるみのアラレちゃんに抱き付いて
写真を撮っている。
しかし若い奥さんは一言、
「中身、オトコでしょ?」

 

奥さん!

 

 

 

 

 

93.<とにかく頑張るしかない??>

インタビューを受けるアスリートたちには
「明日もとにかく頑張るしかないんで!」
という言葉だけは絶対に使わないで欲しい、と
何年も前から願う自分がいる。
ありがとうございます、そうですね、最高です、などは
相手とのコミュニケーションから発生する言葉ゆえ
インタビュアーか、
お客さんのどちらかの心に響くもの。
一方「明日もとにかく頑張るしかないんで!」は
「明日も雨なら傘差すしかないんで!」と一緒で
返答にはなっておらず
カッコつけてるつもりが
誰の心にも響いてないことにいい加減気付いてほしい。
日本語のおぼつかない外国人力士が
「え~、あの~、…が、頑張るしかないんで」
と、テレビで言ってしまったことを
他の分野の日本人アスリートまでが
コピーする傾向が最近は見て取れる。
何も浮かばなければ
「明日も引き続き頑張ります」で、十分。
アスリートに国語力を身に付けろとは言わない。
ただ一回くらい

 

あれ?オレ何言ってんだろとは思え。

 

 

 

 

 

92.<ロックミュージシャン>

美容院で髪を切っていたら
店内のラジオから
海外ロックミュージシャンの歌が流れて来た。
「つまんねえ曲だなあ(笑)」
歌が流れ終わると若い女性のDJが
「今週、第7位の○○さんでした」と
聞いたことのある大物ミュージシャンの名前を紹介したが
大物ミュージシャンであろうが
歳を取れば人の心を揺り動かす感性なんて消えゆくもの。
個人的な感想としては
これといって食い付きもなけりゃ
値段の高いギターの音を聴いてもらいたいだけの曲という印象。
実は俺はついさっき本屋さんから出て来たばかり。 
書店に並んでる本に
名の売れた有名作家のみに絞って今週、第1位、第2位…と
順位付けして客に買わせるか?と思うと
音楽業界というものが
いかに閉鎖的で異様なマーケットであるかが良く分かる。
ところで今流れた曲について
女性のDJは一体どういう感想を持ったんだろうと
引き続きラジオを聞いてみると、
「いや~」
いや~、なんだ?
迫力のある曲でしたね~、とかしか言いようがねえだろ?
「なんか、こう、…迫力が伝わってきましたね」

 

なっ(笑)。

 

 

 

 

 

91.<アメリカンドリームなんて幻想に過ぎない>

今後、トランプ氏は中東以外では
国内外のどこへ行っても「借りてきた猫」のようになる。
大きなお世話ではあるが
やはり70歳の彼は老後を謳歌する道を選択すべきだった。
不動産王が女たちの前で
「今度は大統領になるゾ~!」とカッコつけたら
莫大な資金力で現実のものとなり
あれよあれよと次期アメリカ大統領に選ばれてしまった。
思わぬアメリカンドリームの実現ではあるが、
そんなものは所詮、幻想に過ぎない。
社会も知らない若造に2億ドルの宝くじが当たったところで
毎日のように訪れるカネ目当ての連中に
発狂寸前まで精神を追い込まれるばかり。 
「怖いよ~」 
過激な発言を繰り返す保守派で強硬派のトランプ氏が
大統領になる、というアメリカに
世界は今とてつもなく怯えている。
しかし実際には、
就任当初から70歳の政治素人によるメモばかりに頼る演説と
度重なる謝罪や訂正に
「おいおい大丈夫かアメリカは(笑)」と
世界に笑われる未来が訪れる。
そこでようやくアメリカ国内の白人たちは
重大なことに気付いてくれるのかも。
「な、なんかアメリカンドリームってさ…」
そう、アメリカンドリームなんて

 

アホの考えること。

 

 

 

 

 

90.<トランプ氏は大統領を退任すると予想>

病気か事故か、あるいは…。
とにかくなんらかの形で
トランプ氏は任期途中に大統領を退任する、と予想。
政治を知ってる議員さんたちよりも
州知事にすらなったことがないトランプ氏の受けるストレスは
とにかく半端ない。
「え?それも言っちゃダメなの?」
ダメです、株価に影響が出るので
選挙前のような発言は許されません。
「また会談?」
APECですので
今回はアジアを4か国歴訪してもらいます。
「けど、このスケジュールじゃ睡眠不足に」
オバマさんはもっと過密でしたよ。
70歳と高齢なのは分かりますが
専属のドクターが常に同行しますので。
次にG7の件についてですが…。
おいおいちょっと待て、
「これじゃ操り人形じゃねえか!」
でも個人的な考えで動くと
暗殺されますよ。
「………。」
どうされました?

 

……いや、別に。

 

 

 

 

 

89.<アメリカの腹>

別にトランプ氏を大統領にしたからって
アメリカが独裁国家になるわけじゃあるまいし、
メキシコとの国境に壁を作るなんて
ムリなことくらいみんな知ってる。
突拍子もない公約なんて
ほとんどは出来ないだろうし
その辺は他の共和党議員たちが大人の判断をしてくれるはず。
民主主義国家だもん。
とりあえずアメリカとしては
共和党に政権を戻さないことには
議会のねじれも解消しないし何も決められない。
バカみたいな格差の是正、
雇用、福祉だの…
大事なのはあくまでも「生活」であって、
オバマ氏とさほど変わらないクリントン氏を大統領に選んでも
今と同じ生活を繰り返すだけ。
今、この国に必要なのは
口先だけの「チェンジ」じゃなくて
リアルな「突破口」。
多少、言い過ぎと言われようが
やり過ぎと言われようが
アメリカを根本から変えるためには
ああいう強烈なキャラの男を利用するのも
手段の一つ。
「世界は嫌がるだろうけどね(笑)」

 

……って腹か。 

 

 

 

 

 

88.<博多駅前の道路陥没>

朝からヘリコプターがやけにうるさい。
「何台飛んでんだよ…」
と思っていたらパトカーと消防車まで
ウーッ!ウーッ!と近所を走っている。
爆音のトリプルパンチにテレビが聞こえないので
たまらずスマホに目を移すと
ツイッター博多駅前がどうのと表示されている。
画像を見ると道路が陥没している。
なんだこれ?中国の画像じゃねえか、と思っていたら
「博多じゃねえかオイ!」
マジ?近所じゃねえよな?
いつもの交差点。
「近所じゃねえかオイ!」
え?ウチの近所に穴開いてんの?
と、その時「うわッ!」ピンポン!ピンポン!
スマホから道路陥没に伴う緊急避難勧告。
「何?ガスでも漏れてんのか?」
慌ててテレビのニュースを見てみると
「お伝えします、先ほどの道路の陥没ですが…!」
穴、デカくなってんじゃねえかオイ。
依然、消防車はウーッ!ウーッ!
ヘリコプターがバラバラッ!バラバラッ!
とてつもない騒音の中、
他局で放送してないのかとチャンネルを切り替えていくと
大統領選を前にしたトランプ氏が
「日本車に38%の関税を掛けたーいッ!」

 

うるせえなあお前も!

 

 

 

 

 

87.<蚊に刺された腕にドライアイスを当ててみた>

蚊に刺された左腕があまりにも痒かったので
たまらず近くにあったドライアイスを氷代わりに当ててみた。
(※ドライアイス/-79度)
5秒ほど経って「冷てっ…」とドライアイスを離すが、
それを30回繰り返す。
一時間後。
「え…」
蚊に刺された箇所が10倍に腫れあがる。
ドン引きはしたが腫れは引くだろうと思い込む。
翌朝。
腫れた個所は10倍の大きさのまま『水ぶくれ』に変化。
「おい、おい!」
朝からパニック。
病院関係者に電話で指示を仰ぎ、
火を通した針で風船のような皮をつぶし水分を放出。
以後、500円玉2枚分の大ヤケドの跡が何ヶ月も生々しく残る。
一年後。
「あれ?そういえば…」
すっかり目立たなくなった傷跡は500円玉1枚分まで縮小。
かさぶたの取れた後みたいなボンヤリとした傷跡の上に
産毛が3本。
皮膚科の先生方、

 

以上が「人体実験」の結果になります。

 

 

 

 

 

86.<30代の鬱>

日本のあらゆるシステムは
高齢者たちの手で作られている。
彼らの考えで作られた世界を
人口の少ない30代、20代は生きている。
住み心地の決して良くないその世界を変えようにも
30代、20代には、
高齢者たちほどの「人手」も「カネ」もなく、
結局は何の抵抗も許されないまま
若者が次々に心をやられる地獄絵図のような現代社会。
つい最近、
社員になって4ヶ月なのに会社を辞めた38歳の同僚は
辞める直前に「だってこれだけですよ?」と
俺に給料の話をしてきた。
結婚も、貯金もできないと嘆く彼の横で
安月給で雇われた外国人たちが
満面の笑みで働いている。
日本のあらゆるシステムは
高齢者たちの手で作られている。
おばあちゃんっ子で年配が大好きな俺でさえ
最近は「高齢者ギライ」になって
若者の悩みにばかり関心が向く。
俺も日本も、

 

つくづく末期だと思う。

 

 

 

 

 

85.<遠のく結婚願望>

区役所に入ると一体何があったのか
「なんだ、なんだ?」
50歳くらいのオバちゃんが
大声で職員を怒鳴り散らしている。
むっちゃキレてるやんかと
ロビーの長椅子に座ってスマホでニュースを開くが
すでに一分は経過しているのに
オバちゃんのクレームは一向に収まらない。
「エネルギーすげえな…」
ふと見ると
俺の隣のサラリーマンはスマホで株の動きを
斜め前に座る若い女性はスマホで料理のレシピばかり見ている。
そんな穏やかな我ら部外者をよそに
オバちゃんは窓口でまだまだ喚き散らす。
ふと、
「…旦那いるのかな」
家であんな怒りを見せられたら
孤独好きな俺ならあっさり離婚に走る。
もう5分以上は経ってるのに
オバちゃんはまだ職員を怒鳴り散らしている。
果たしてあのオバちゃんだけなのか、
女性はみんなああなのか。
いずれにしろ、

 

結婚願望は今日も遠のく。