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69.<麦わら帽子とナイロンのヒモ>

博多駅を出ようとすると
向かいから歩いてくる麦わら帽子の子が
折り畳んだ日傘を留める蝶々のようなナイロンのヒモを
ヒラリと落としていった。
俺はと言えば
「誰が設計したんだよ!」と
九州一待ち時間の長い博多駅の4級エレベーターと
発売日なのに発売されてなかった雑誌に
イライラしながら帰ろうとしていたところ。
そんな帰りがけに拾ったナイロンのヒモ。
振り返ると落とした当人はいつの間にか人ごみに消えている。
探すのかよ…。
「最低な一日だな今日!」
と、ブツブツ言いながら博多駅の中を歩いていると、
折り畳んだ日傘を手に
立ち止まってソワソワしてる麦わら帽子の子を発見。
声を掛けると妖精でも飛んでるんじゃねえかと思うような
20代前半の美人が振り向いた。
落としましたよとナイロンのヒモを差し出すと
え?あっ、ありがとうございます!と満面の笑みでお辞儀。
帰り際、追いかけてくる妖精に今日一日どうだった?と
尋ねられた気がした。

 

「文句なし!」